ICPと原子吸光法の違いとは？中学生にもわかる徹底解説

---

ICPと原子吸光法の違いを徹底解説：科学の現場でどう使い分けるのか

ICPと原子吸光法は、物質中の元素を知るための道具です。どちらも「どういう元素がどれくらいあるか」を知るために使われますが、仕組みや得意な場面が違います。

まず、ICPとは Inductively Coupled Plasma の略で、非常に高温のプラズマを作って試料を雰囲気中の原子にまで分解・励起させます。励起した原子は特定の波長の光を放ち、それを検出して濃度を計算します。

一方、原子吸光法（AAS）は、試料を通る光の中で、特定の元素の吸収だけを測る方法です。元の光を一定の波長へ絞り込み、元素がそれを吸収する量を光の減少量として読み取ります。

ICPは多元素を同時に測れる点が強みで、初期の装置投資が少し大きい代わりに高速で広い範囲の元素を扱えます。AASは特定の元素を正確に測れる反面、同時に測れる元素の数は限られ、個別に波長を設定する必要があります。

これらの違いを知ると、現場で「何を測りたいのか」「どれだけの元素を同時に知りたいのか」「予算と分析時間の制約はどうか」が自然と見えてきます。

以下からは、仕組み・特徴・使い分けの目安を詳しく見ていきます。

ICPの仕組みと原子吸光法の基本

ICP（Inductively Coupled Plasma）は、約6000〜8000度の高温プラズマを作り、試料をイオン化・励起します。プラズマが電子を飛ばすので、元素は自由な原子やイオンになります。

ICP-OES（または ICP-AES）はこの励起状態の原子が放つ光を測り、波長ごとの光の強さから濃度を算出します。多元素を同時に測れるのが最大の強みで、土壌・水・食品など幅広い分野で使われています。

この測定は迅速で感度も高く、サンプル前処理が適切なら分析対象を広く薄く分布させることが可能です。

一方、原子吸光法（AAS）は、光源として波長を選び、サンプルを通過した光の吸収を検出します。典型的には金属元素の測定に使われ、波長選択が厳密で、信頼性の高い定量が得やすいという特長があります。

つまり、ICPは“同時に多くの元素を測る器具”、AASは“単一または少数の元素を高精度で測る器具”という捉え方が分かりやすいです。

使い分けの実践ポイントと表でのまとめ

分析対象が複数の元素で、測定スピードを重視する場合にはICP-OESが適しています。

逆に、対象元素が限られ、超高感度・高精度が必要な場合にはAASを選ぶのが賢い選択です。

コスト面でも、装置の初期投資とメンテナンス費用を含めて比較すると、AASは安価な場合が多いです。

実務では、サンプルの性質（溶解性・粘性・有機物の含有）によって前処理の難易度が変わるため、適切な前処理プロトコルが必要です。

ここまでのポイントを簡単に表にしておきます。

<table>特徴AASICP-OES同時測定難容易対象元素数少数多元素コスト低い高い測定時間長いこともある速い

ピックアップ解説

今日はちょっと雑談風に、ICPと原子吸光法の違いを深掘りしてみよう。研究室ではこの二つをどう使い分けるのか、実際の現場の空気を感じながら話します。たとえば、友達と実験計画を立てるとき、同時に測れる元素が多いICPを選ぶか、特定の金属に絞って高精度を追求するAASを選ぶか、迷う場面はよくあります。そんな時に大事なのは、測定の目的とコスト・時間のバランスです。

---