sinad snr 違いをやさしく解説！音の品質を測る2つの指標を徹底比較

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sinadとsnrの違いをざっくり把握する

音の世界では、信号と雑音、そして歪みがどのくらい混ざっているかを数値で表す指標がいくつかあります。とくに「SNR（Signal-to-Noise Ratio）」と「SINAD（Signal-to-Noise and Distortion）」は、音の品質を判断するときによく使われます。この記事では、SINADとSNRの根本的な違いを中学生にも分かるように丁寧に解説します。まず前提として、SNRは「信号の強さ」と「雑音の強さ」の比です。雑音とはマイクのノイズや電子機器の雑音で、音としては聞こえにくいノイズの部分を指します。SNRが大きいほど、音はクリアで聴こえやすくなります。SNRは一般にデシベル(dB)で表され、数値が高いほど良いと考えられます。

一方、SINADは「信号＋雑音＋歪み」の力の比を指します。ここでいう歪みとは、本来の信号が機械の中で変形したために生じる別の不自然な成分です。SINADもデシベルで表され、SINADが高いほど、歪みを含めた総合的な品質が良いことを示します。この差が大きいと、ただ雑音が少ないだけで、音色が不自然に感じられることもあります。

SNRとSINADは、どちらを重視するかで評価の意味が変わります。音楽をそのまま楽しみたいときはSNRが直感的な指標になりますが、音を機器で再現する品質を評価する場合はSINADの方が現実に近い評価を与えます。以下では、それぞれの定義と計算の仕組み、測定の実務、そして日常の音響機器選びにどう影響するかを順番に見ていきます。

e>指標意味用途SNR信号と雑音の比音楽再生の品質評価などSINAD信号＋雑音＋歪みの比機器全体の品質評価

定義と計算式の違い

SNRとSINADの根本的な違いを理解するには、まず「何を測っているのか」を分けて考えると分かりやすいです。SNRは主に“信号そのものと周囲の雑音”の関係を示します。電気的な場面では、信号のパワーPsignalと雑音のパワーPnoiseを使って、SNR = Psignal / Pnoise（デシベル表記では 10 × log10(Psignal/Pnoise) ）と表します。つまり、雑音が少なく信号が強いほどSNRは高くなります。これだけを見れば音楽がきれいに聴こえるかどうかの目安にはなりますが、実は機械の中には歪みという別の要素も存在します。

一方、SINADは“信号＋雑音＋歪み”の総合的な割合を示します。歪みとは、信号が増幅や変調の過程で元の形と異なる成分に変化する現象で、THD（全高調波歪み）などが原因になることが多いです。SINADは Psignal / (Pnoise + Pdistortion) で定義され、デシベル表記では 10 × log10(Psignal / (Pnoise + Pdistortion)) です。ここで歪みが多いとSINADは低くなり、雑音が少なくても音色が不自然になることがあります。

つまり、SNRは“雑音だけ”に着目する指標、SINADは“雑音と歪みを合わせた不良成分全体”を評価する指標という理解が正解です。実務の現場では、これらを同時に見ることで機器の本当の音質を見極める手がかりになります。

実務での使われ方と例

実務では、信号処理や音響機器のテストでSNRとSINADを別々に測定し、両方を報告します。例えばデジタル-アナログ変換器（DAC）やアナログ-デジタル変換器（ADC）の性能評価では、SNRが高いことは当然重要ですが、同時に SINAD が高いこと、つまり歪みが少ないことが求められます。測定の際には、入力信号を一定の周波数で一定の強さに設定し、出力を解析します。SNRを評価する際は信号と雑音を分離して計算しますが、SINADを評価する際は雑音だけでなく歪みの成分も分解して合計します。

家庭用の機器でも、例えばスマートスピーカーやイヤホンの製品比較では、SNRだけでなくSINADの値が公開されていることがあります。高品質な音を求める場合は、SINADの値が参考指標になることが多いです。また、測定条件（入力信号の周波数、レベル、測定機器）によって値が変わりやすいので、比較する際は同じ条件で測ることが大切です。下の表は、実務でよく見かける目安の一例です。

指標	目安の範囲(dB)	注記
SNR	90〜120	雑音が少ないほど高い
SINAD	80〜110	歪みを含む総合評価として使われる

まとめと実務のポイント

要点を端的にまとめると、SNRとSINADは別の観点から音質を評価する指標ということです。SNRは“音を崩さず聴こえる雑音の少なさ”を表す指標、SINADは“雑音と歪みを含めた総合的な音の美しさ”を表す指標です。実務で大切なのは、目的に応じてどちらを重視するかを決め、同じ条件下で両方を報告することです。音楽をただ楽しむだけならSNRの高さを重視しますが、機器の品質を厳しく評価する場面ではSINADも大切な指標になります。日常の機器選びでは、メーカーの公表値だけで判断せず、実機の実測値や測定条件を確認すると、想定どおりの音質を手に入れやすくなります。これらの理解を持っていると、音を「数値」で読み解く力がつき、より納得のいく選択ができるようになります。最後に、SNRとSINADは互いを補完する関係だと覚えておくと良いでしょう。

ピックアップ解説

ある日、友だち同士で音のことを雑談していた。A君は“SNRが高いと音がクリアになる”とだけ言い張る。Bさんはそれだけじゃダメだ、と返す。実はSNRだけでは雑音の多さは抑えられても、音を作る機械の中で起きる歪みまで見ていないからだ。そこで二人はSINADのことを思い出す。SINADは「信号＋雑音＋歪み」を全部ひとつの力としてとらえる指標で、つまり音の“本当の聴こえ方”を評価するのに役立つ。彼らは「良い音を作るには、SNRとSINADの両方を高く保つこと」が近道だと結論づけた。話は続くが、要点はこうだ。雑音だけでなく歪みも含めた総合評価が必要なときはSINAD、雑音の少なさだけを重視したいときはSNR、という二刀流で機材選びをするのが現場のコツだ。

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